最低賃金が上がります…毎年のことですが

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2022年8月2日現在、報道では最低賃金が「30円」ないし「31円」上昇すると具体的な数字が出てまいりました。
宮城県の場合は853円で、宮城県は上げ幅30円の地域なので、黙ってでも883円になります。
経営者側の立場になれば、30円は大きな上げ幅です。
一方、宮城県の労働者側からは「900円台に届かなかった」と物足りなかったという声も。

労使間の意見や要望は、いつも綱引き合戦での妥協なのですが、今回は経営者にとっては厳しい賃上げになるのではないでしょうか。
ワールドウォーカーズでは、創業当時から塩釜の事業所、特に食品製造、食品加工業の方々との取引が多いのですが、新型コロナウィルス感染拡大により資材をはじめとする副原料の調達価格が段階的に上昇、さらには円安ドル高の為替レートにより「だまって20%値上げされたようなもの」とこぼす関係者も。

ワールドウォーカーズでも、研究のために昨年取り寄せたアメリカ製の商品(電子部品)は、今年に入って20%以上も上昇。
顔見知りの方から「それ、うちでも欲しい」と頼まれたのですが、いまからオーダーしても「納期未定」という有様。
どの業種にもいえることで、たった数点の電子部品が手に入らないために、何百万円もする商品が納入できないと厨房設備の営業マンがこぼしていました。

一時期は140円台、とあるニュースサイトでは「150円台も想定」といっていた為替レートも、本日は130円を割り込もうとするほど円高に振れましたけど、依然として円安傾向は変わりません。
仮に円高がさらに進行したとしても、値上がりした商品(たとえば、日本人にはなじみ深いアップル社のスマホなど)が再び値下がりするとは思えません。

今回、最大の上げ幅となる最低賃金ですが、世界的な視点からみれば、日本の失速っぷりは顕著です。
先日、久しぶりに松本零士先生の作品で私のフェイバリットでもある『男おいどん』という漫画を読み返しました。
本当は漫画の画像を貼り付けたいのですが、著作権侵害になるかもしれないので文章で説明します。
『男おいどん』は、1970年前後の東京を舞台とした青春群像で、九州から出てきて下宿で暮らす大山くんという若者が主人公です。
彼の好物というか、お金に不自由な大山くんが外食できる範囲内なのが、アルバイト先でもある『紅楽園』でのラーメンライスです。
時折、メニューが壁にかかっている場面があるのですが、それをよく見ると、ラーメンが120円、カレーライスが150円と書いてあります(200円に値上がりする場面もあり)。

当時の大学初任給は以下の通り。
1970年:39,900円
1971年:46,400円
1972年:52,700円
なかなかの上げ幅です。

20年後、これがどうなっていったのか。
1990年:169,900円
1991年:179,400円
1992年:186,900円
20年で3倍も上がっているわけですね。
この頃には、すでにバブルも崩壊しているわけですが、まだベースアップしていたのです。
次の20年を見てみましょう。
2010年:200,300円
2011年:205,000円
2012年:201,800円
失われた20年とか30年とか言われるようになった所以ですね。
さらに10年たった2022年でも、およそ216,000円ですから、1990年代から、ほとんど成長していないことが分かります。

こうなると、外国人労働者もとい技能実習生や特定技能の外国人たちが日本を目指す動機、モチベーションがどんどん低下して当然です。
アジア各国では、年々最低賃金やGDPが上昇しているので「日本へ行けば〇〇倍稼げる!」というのがどんどん小さくなってしまいます。
そうなると、日本へ行くよりも、別の国に行った方がいい、という声も高まります。

マンパワー頼りの業種では、生産能力を維持できなくなる危険性が高くなります。
外国人に頼らず、日本人で頑張ればいい、賃金を上げれば、日本人も集まるという意見もあります。
ところが、そううまくはいきません。

前にも書きましたが、学校の児童数や生徒数が半減しているわけですから、今後、企業が人を集めるにせよ、単純計算でも必要な数の半分しか募集に集まらないことになります。
業種によっては機械化・自動化で補っていることもありますが(セルフレジが身近な例ですね)、人間でなければ出来ない業種や作業内容の方が多いのが現状です。

収益を考えると、なかなか賃金上昇は難しいのかもしれませんが、日本人にせよ外国人にせよ、それなりにモチベーションの高い人材を確保するには、最低賃金に+いくら増額するかを真剣に検討して頂くことが早道であると考えます。