悩み相談

その他

ある業界の方から相談を受けました。
具体的に書くと「ワールドウォーカーズ」「塩釜市」で条件を絞った場合、どこの会社か見当がついてしまうので、まったく違う業界に置き換えてお話します。

地元では、やや有名な『中古車販売業者』に勤務しているAさん。
Aさんの会社は中古車販売がメインなのですが、もともとは整備工場として創業しているので、いまも車検や修理などを手掛けています。
Aさんは自動車整備の専門学校を卒業しているのですが、人当たりもよく、本人も接客が好きということで整備・修理ではなくセールスの部署で働いています。
ただ、工場が忙しい時は、知識と技術のあるAさんは、ツナギを着て工場で修理、整備を行っています。

そんなAさんの悩み、それは「工場の整備士たちが、だらしない」というものでした。
話を聞くと、Aさんの上司や先輩にあたる整備士たちは、夕方仕事が終わると、きちんと後片付けをせずに帰るというのです。
「きちんと工具を元に戻さなかったり、修理などで出てきた棄てるような部品や端材なども床に散らかしたままなのです」

私もクルマやオートバイを自分で整備しますし、いまは大学の研究機関で実験車両に関わっているので、整理整頓を含めた清掃作業は、整備や修理と同じように手を抜いてはいけないことくらいは分かります。
まして、整備士は職人の世界…そんなことがあるんだろうか?

「じゃあ、誰が片付けるのでしょうか?」と訊いたらAさんは
「実は私たち若手の社員が、朝に出社して片付けます。販売は日祝日もオープンしているので、その日、早く出社して片付けることもあります」とこぼしていました。

実は、この会社の整備部門には、偶然なのですが、私の古くからの知り合いが勤めています。
知り合いと言っても、それほど親しいわけではなく、その方のご家族と私の家族が知り合いで、いわゆる「顔見知り」程度です。

それにしても、そんなにおかしなことをする人だろうか?
Aさんが「被害妄想」のようになっているだけではないだろうか。

ところが、それからほどなくして、Aさんが言っていることが真実だと確信しました。

件(くだん)の整備士さんのご家族は、約10年近く仙台市内でセレクトショップを経営していたのですが、あまり売上が芳しくなく閉店することになりました。
丁度その時、私の取引先から「知人が物件を探している。ワールドウォーカーズのコネで探してくれないか」と緩い依頼があったので「閉店予定セレクトショップ」をお勧めしてみたところ、仕事の内容は全然違うものの、ほとんど居ぬきで使えそう、ということでとんとん拍子で話が進みました。

整備士さんのご家族にしてみれば、退去に際して原状復帰などの費用がほぼゼロで済みますし、双方にとって良い話でした。
また弊社も取引先から「新規店舗展開について、いろいろアドバイスをしてやって欲しい」と、スポットでコンサルティングサービスを提供させて頂くことになりました。

不動産管理会社との契約もスムーズに終わり、ほとんど居ぬきとはいえ、ちょっとした内装工事を行おうと業者が入った時、トラブルが発覚しました。
セレクトショップの方々が、退去する当日の夜、内輪のパーティーでも開いたらしく、飲み食いしたものがテーブルやカウンターに散乱、給湯室の流しや冷蔵庫も惨憺たる状況でした(写真も見せてもらいました)。

セレクトショップのSNSには「営業最終日、スタッフや常連さん、これまで支えてくれた家族と共にささやかなパーティを開きました。その後、後片付けをして鍵を閉めて、約10年間のお礼を言って店を出ました」と書いてあり、写真には例の整備士さんの姿が写っていました。

Aさんは「もはや感覚が違うから、きっと私が職場でのことを言っても、こっちがおかしなように思われるのかもしれませんね」と力なく笑うばかりでした。
Aさんには「社長や社長の奥さん(経理)に、話してみてはどうでしょう?Aさん個人の問題ではなく、会社の業務そのものに関わる問題ですよ」と伝えるも「社長は整備士たちには甘いんです。もともと売上を支えてきたのは工場ですから、強く言えないんです」と嘆くばかり。

正式な依頼を請けていないので、弊社としてもこれ以上何とも動きようがなく…
おそらく、こういう事例は世の中に沢山あるのでしょう。


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