宮城県で留学生や家族滞在をアルバイトさせる際の注意点

ビジネス

夏真っ盛りで順調?に猛暑なのに、低気圧が停滞してとんでもない大雨が降っていますね。
ワールドウォーカーズは宮城県内なので被害はありませんが、取引先だったり、交流のある方々が青森や秋田にいらっしゃるので、本当に心配しております。
被害に遭われた方々の報道をみていると、お見舞い申し上げます、と簡単な一言では済まされないほどです…これ以上、被害が拡大しないよう願うばかりです。

水際対策が緩和されたおかげで、宮城県(仙台市)にも外国人留学生の入国が増えているようです。
同時に、これまで外国人留学生を雇用していた方々からも、雇用についての問い合わせがあります。
今回は、外国人を雇用するうえで大事なことを再確認していきたいと思います。

働けるのは、一週間28時間まで

まず大事なのは何度もお伝えしているのですが、留学生がアルバイトできるのは「週に28時間まで」です。
学校や学生自身も理解していることなので、それほど難しくはないのですが「一週間とは何か」を正確に答えられる人はあまり多くない気がします。
結論から申し上げますと、どこで切っても「28時間」に収まらなければいけません。
たとえば、毎週、月曜日から金曜日まで一日5時間、土曜日を一日3時間、合計28時間の場合。
水曜から火曜からの7日間でも、金曜から木曜からの7日間でも、28時間でおさまります。

しかし、こういう場合はどうでしょう。
ある週に木曜6時間、金曜6時間、土曜8時間、日曜8時間で働き、
次の週に月曜6時間、火曜6時間、水曜6時間、木曜6時間、金曜4時間で働いたとします。
月~日で切れば、どちらも28時間で収まっていますが、金曜日から木曜日、というピリオドで見た場合、6+8+8+6+6+6+6=46時間になってしまいます。
連続7勤もアウトなのですが、とにかくこういう働かせ方はNGです。

これは家族滞在の外国人でも同じです。
ただし、留学生の場合は例外があり、学校が指定する長期休み(春休み、夏休み、冬休み…一部の学校は秋休みも)の期間中は、週40時間まで働いてもらうことは可能です。

この話をすると「1時間くらいオーバーしたくらいじゃ怒られないでしょう?」という会社の担当者もいらっしゃいます。
たしかに、たとえば、複数の外国人を雇用、1年間に1時間だけピョコっとオーバーしていたくらいでは事業所が摘発されることはないでしょう(それでも、そういう事案があったという記録はしっかり残ります)。

しかし、留学生や家族滞在の外国人にとっては由々しき問題になります。
在留資格の更新、在留資格変更許可申請など本人に関わる手続きに支障が出る恐れがあります。
「たかが1時間」と軽んじることなく、法令遵守することが、外国人の皆さんを大事に雇用することになります。

また28時間勤務は1事業所だけではなく、複数のアルバイトをしている場合、トータルでの28時間となります。
「知らなかった」では済まされないこともありますので、よく確認することが大事です。

通勤について

宮城県内の留学生は、99%が仙台市に住んでいると思います(これまで市外に居住している留学生には会ったことがありません)。
仙台もそこそこ広いですから一概に言えませんが、市内中心部、地下鉄やJRの沿線上であれば、容易に通勤してくれると思います。
ただし、交通費が支給されない、自転車で走ると1時間はかかるような、やや利便性の悪い場所になると、最近の学生さんたちは募集に集まりません。
時給を相場よりも少し上げたとしても「通うのが大変」とそっぽを向かれます。
仙台市中心部から離れるほど、この傾向は強くなっていきます。
多少、離れていても最寄駅から勤務先までが近い、あるいは送迎がある、というのであればよいのですが『電車で通勤30分+徒歩20分』のような勤務先だとお断りされるケースが多くなっています。

コロナ禍の少しまでは、山越え谷越え自転車で1時間以上かかるような会社にも沢山の学生が働いていましたが、多少待遇がよいくらいでは、集まらなくなりました。

これには諸説ありますが、母国での生活水準が年々上がっており、以前のような「苦学生」が減少していることもあるでしょう。

技能実習生や特定技能の外国人を採用しようとしている企業の担当者にも申し上げているのですが、
「外国人を雇ってやる」
という上から目線の考え方は棄てて
「日本人が集まらない仕事に関心を持ってもらって感謝している」
をベースに接して頂くと「送迎車を手配しよう」「自転車を貸し出そう」「天候が悪い時には対処しよう」という答えが出て来ると思います。

待遇について

5~6年前までは800円でも「高い」と言われていた宮城県内の待遇ですが、2022年の今は最低ラインは900円でしょうか。
たとえば時給が900円でも、所定労働時間が一定を超えたり、無断欠勤や遅刻早退がないような場合は何らかの手当をつけるなど工夫は出来ますし、そのような手当をつけてもなお、勤怠状況が良くない人については早いうちに手を打つことも出来ます。

外国人たちへの接し方

大前提として、日本人の価値観や感覚は99%通用しません。
「郷に入っては郷に従え」というのは真理のひとつですし、実際、あちこちの国を渡り歩いた私も、TPOに応じてその国の慣習に従います。
ただ、日本の会社の場合、会社のルールや作業手順など、国籍に関係なく従うべきレギュレーションだけではなく「日本人化」を強要するケースが散見します。

具体的には「昼休みの間、日本語を勉強しなさい」「輪の中に入って話なさい」「日本語以外を使ってはいけません」…などなど。
これ、文章にして書くと、おそろしいことです。
言わんとしていることは分かるのですが、実際、1年や2年、外国にいて現地の言葉が身に着きますか?

会社におられる方々は、おそらく中高で6年間英語を学び、なかには大学で2年ないし英文科でみっちり4年英語を学んだ方もいるでしょう。
そのうち、どれだけの人が英語でコミュニケーションできますか?
ワールドウォーカーズでは、留学生に限らず、外国人の通訳(主に英語、ベトナム語)のサービスを行っていますが、ご自身で言葉の問題をクリアした会社はゼロです。

しかも、留学生にせよ比較的長期で働く技能実習生や特定技能の外国人も5年くらいで退職して、また新しい人が入ってくるわけです。
いちいち「日本語勉強しろー」「日本に慣れろー」というより、彼らの言葉で書かれたマニュアルをポンと渡して「これ読んでおいて」の方が楽じゃないですか?

ある会社から「ワールドウォーカーズさんでマニュアル作ってよ」と言われ、必死で何十枚ものマニュアルを作りました。
おかげで、それ以降、入社手続きの時「これ読んでおいて」で終わりです。
いまなら、タブレットも安価で手に入りますから、動画でマニュアルを作成して見てもらったらいいのです(そのために、趣味で動画撮影・編集の腕を磨いています)。
眉間にしわを寄せて騒ぐよりも、よっぽどスマートじゃないですか?

騒ぐと言えば「叱る」と「怒る」を区別できない会社は、離職率が高いです。
工場長や「長」のつく中間管理職に多いのですが、意味もなく怒鳴り散らして、外国人たちが委縮してしまうような会社は、ぜんぜん根付きません。
たまに技能実習生が在籍している会社もありますが、気の毒でなりません(特定技能の外国人は、転職の自由があるのでマシですが)。

かといって、ミスをしても、勤怠状況が悪くても何も言わない、というのでは、これまたナンセンスです。
昔の「雷親父」のような厳しさがあってもいいのです。
怒りの感情を相手にぶつけるのではなく、ここを間違えると取引先や会社、ひいては自分自身に大きな損失となるから、深刻な態度で指導する、というのであればOKでしょう。
そのかわり、なぜ、そういうことを言うのか、説明しないといけません。

随分と昔、ある会社の課長さんが、外国人に対して物凄く厳しく接していました。
個人的には「この人、大丈夫だろうか」と心配していたのですが、当の本人たちはケロっとしていて
「課長は、仕事の時は本当に厳しい。でも、それはボクたちが間違ったらケガをしたり、作ったものにキズがついて売り物にならなくなるから。タイムカードを押した後は、まるで違う。とてもやさしい。お酒も持ってきてくれるし、買い物にも付き合ってくれる」
と語っていました。

外国人は、言葉が不自由な分、ほかの感覚を研ぎ澄ませます。
指導のために「叱っている」のか「怒りや苛立ちをぶつける」だけなのか、敏感に感じ取ります。
ある会社で工場長が何らかの拍子に激怒した途端、学生たちの大半が退職してしまいました。
それまで「優しい」「私たちを大事にしてくれる」と評判がすこぶるよかったのに、たった1度そういうことがあっただけで、学生たちの間に悪評が拡がり、新しいアルバイトを補充するのに四苦八苦した記憶があります。

長々と書きましたが、実際はそんなに難しいことじゃありません。
技能実習生にせよ、特定技能の外国人にせよ、留学生にせよ、家族滞在にせよ、みんな我々日本人の助っ人として手伝ってくれる人達です。
お互い、ちょっとした気配りや気遣いがあれば良いだけです。

「それが難しい…」という場合は、いつでもお気軽にご相談下さい。

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